2024/04/11 23:30

これは、空想の猫の話。

1話は、猫の世界にもあるかもしれない混沌の話。

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僕は、毎日お母さんととっても広い範囲を自由に行動しているよ。

なんか大きな箱の中で人間といる仲間も見かけるね。窮屈じゃないのかな?


今日は、これからお母さんとご飯を探しに行くんだ。

大きな塊がたくさん走ってるから気をつけないと。たまにすごい臭いを放ちながら走ってる。

仲間があれにぶつかって動かなくなったのを見かけた事もあるよ。

とても怖い、危ないものだってお母さんも言ってた。人間には近づかないようにとも。


あれ?なんかとってもいい匂いがする!どこからだろう??なんの匂い?

お母さんにあとで聞いてみよう!まだまだ知らない事だらけだなぁ!って、あれ?お母さん? 


(ドンッッッ)


……

お母さん?ねぇ? こんなところで寝てたら、あの塊が来ちゃうよ。ねぇ??

………


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音も匂いも景色もいつもと変わらないはずのものたちが

突然姿かたちを変えて目の前に現れる。

それまで輝いて見えていたものたちですら、

すべてモノクロとなって重くのしかかってくる。

大きな塊車のヘッドライトに照らされた横たわる母猫とただただ鳴く子猫の姿。

まだ金木犀が香る10月の記憶。


(初回更新 2021/10/21)